エイチ・アイ・エスの経営戦略を独自に分析しました。

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エイチ・アイ・エス 基本企業データ

エイチ・アイ・エス(H.I.S)

※(子)はエイチ・アイ・エスの連結子会社、(持)は持分法適用会社を意味しています。

エイチ・アイ・エスについて

エイチ・アイ・エスは東京都新宿区に本社を置く旅行業者。創業者は澤田秀雄、現在の経営者(取締役社長)は平林 朗。

国外への格安航空券の販売を主とし、海外旅行、国内旅行のパッケージ商品、フリープラン商品などを手掛ける。日本国内の営業所は約270店舗、海外では76都市100拠点のネットワークを有する。

エイチ・アイ・エスの経営戦略

経営コムが分析したエイチ・アイ・エスの経営戦略

コスト・リーダーシップ戦略

コスト・リーダーシップ戦略とは、ポーターの基本戦略のうちの一つで、業界全体の広い顧客をターゲットにし、他社のどこよりも低いコスト実現をすることにより競争に勝とうとする戦略。

 

集中戦略

集中戦略とはポーターの基本戦略のうちの一つで、業界の特定市場に的を絞って経営資源を集中し、競争に勝とうとする戦略。

エイチ・アイ・エスの戦略ポジション

エイチ・アイ・エス(H.I.S)はコストリーダーシップ戦略と集中戦略を主としています。エイチ・アイ・エスは格安航空券の販売からスタートし、海外パッケージツアーや国内プラン、海外フリープラン商品を中心に取り扱ってきました。

また、エイチ・アイ・エスは海外旅行分野に力を入れており、売上高に対し90%近くの割合を占め、海外旅行取扱高は旅行業界第2位を誇ります。そうした意味でも格安航空券の販売や海外旅行に特化をした集中戦略をとっているとの見方もできます。

エイチ・アイ・エスの成長には二つの局面が見受けられます。まずは、創業期からの格安航空券の販売。海外向け航空券が高価であった当時、エイチ・アイ・エスは航空券をリーズナブルな価格で販売することに目をつけました。格安航空券の販売は業界に大きな衝撃を与え、より多くの消費者の指示を受ける結果となりました。

航空券分野での地位を築いたエイチ・アイ・エスは、主力事業を航空券販売から海外旅行パッケージへと徐々にシフト。その後、海外旅行者の増加と共に、さらなる急成長を遂げてきました。

航空券、海外旅行パッケージはいずれもコスト・リーダーシップ戦略と集中戦略の併用によるものです。特定分野に特化し、低価格で他社と差別化することにより、シェアを拡大する戦略をとっています。

エイチ・アイ・エスの強み(競争優位性)

エイチ・アイ・エスの強み(優位性)

低価格ブランドの確立

エイチ・アイ・エスの強みの一つは、低価格ブランドを確立した点にあります。創業以来の格安航空券の販売に始まり、格安海外旅行の販売など低価格を全面的に打ち出した戦略をとっています。

しかしながら、近年では、エイチ・アイ・エス以外にも低価格を打ち出している旅行業者も多く、実際にエイチ・アイ・エスよりも安い業者も数多く見受けられます。

エイチ・アイ・エスの巧みな点は、『エイチ・アイ・エス=安い』というブランドイメージを消費者の中に確立してきた点にあります。こうした一度消費者に埋め込まれたブランドイメージは強く、消費者は『エイチ・アイ・エス=安い』というブランドを拠りどころに、多くの旅行社の中からエイチ・アイ・エスを選定し、購入に至ります。

ベンチャーからの強み 集中戦略

エイチ・アイ・エスのもう一つの強みとして集中戦略が挙げられます。エイチ・アイ・エスは上記のとおり、格安航空券分野と海外旅行分野で急拡大を遂げてきました。

エイチ・アイ・エスは特定の系列やグループに属する企業ではなく、ベンチャーしてスタートした会社です。ランチェスター戦略にあるように、弱者が強者になるには集中戦略が必須です。エイチ・アイ・エスは格安航空券と海外旅行の分野に集中し、弱者から強者へと成長した会社なのです。

今後、エイチ・アイ・エスは、主力の海外拠点を100から150へと増やす計画を立てており、成長が見込めるアジアを中心に出店を加速する見込みです。今後は、拡大するアジア市場を中心に集中戦略を展開する見込みで、さらなるエイチ・アイ・エスの成長が期待されます。