ニトリの経営戦略を独自に分析しました。

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ニトリ 基本企業データ

ニトリ

※(子)はニトリの連結子会社、(親)は親会社、(持)は持分法適用会社を意味しています。

ニトリについて

ニトリは北海道札幌市に本社を置くホームファニシング会社。創業者は似鳥 昭雄で、現在の経営者(取締役社長)でもある。

低価格帯のホームファニシング(家具、ホームファッション)を中心に手掛け、近年業績を拡大。「ニトリ」を北海道から沖縄まで200店舗以上を展開。

ニトリの経営戦略

経営コムが分析したニトリの経営戦略

コスト・リーダシップ戦略

コスト・リーダーシップ戦略とは、ポーターの基本戦略のうちの一つで、業界全体の広い顧客をターゲットにし、他社のどこよりも低いコスト実現をすることにより競争に勝とうとする戦略。

 

差別化戦略

差別化戦略とは、ポーターの基本戦略のうちの一つで、業界の広い顧客をターゲットにし、他の企業が持たない特徴で他社との差別化を実現することにより競争に勝とうとする戦略。

ニトリの戦略ポジション

ニトリの経営戦略は、コスト・リーダーシップ戦略と差別化戦略の複合によるものと分析されます。 ニトリの最大の特徴はSPA(製造小売業)にあります。

SPA(製造小売業)とは、企画から製造、販売までの機能を垂直統合したビジネスモデルのことです。ニトリの場合、商品の企画、原材料の仕入れ、現地生産、輸入、販売、商品搬送までをほぼ自社で手掛け、物流センターや配送拠点までも自社で保有しています。

卸や商社など中間流通を自社で手掛けることにより、余分なコストをカットし、製品に転嫁することができます。その結果、他社と同機能の製品が低価格で提供できる仕組みになります。

ニトリはSPAという差別化戦略をとることにより、同時にコスト・リーダーシップ戦略も実現しています。ニトリの優れている点は、単に安売り競争をするのではなく、同業他社にないSPAというビジネスモデルを構築、差別化することで、コスト優位性を確立している点です。

ニトリの強み(競争優位性)

ニトリの強み(競争優位性)

SPAと消費者ニーズの合致

ニトリの強みは同社のSPAと消費者ニーズが合致した点にあります。家具・ホームファッション業界において日本で先駆けてSPAを導入し、この分野の商品の低価格化を実現しました。

今まで割高とされてきたこの分野の商品の同機能低価格化は、多くの消費者ニーズに合致し、高い反響を呼びました。その結果、2009年2月の決算において、22期連続の増収増益を記録。躍進を続けています。

高い利益率とライバルの不在

ニトリの強みとして高い利益率が挙げられます。平成22年2月決算において、粗利益率が53.9%、経常利益率が16.5%と驚異的な数字を記録しています。家具・インテリア業界の平均が粗利益率が40%、経常利益率が5%前後ですから、収益性の面で他社を大きく引き離しています。

高い収益性を確立している理由は、やはりSPAにあります。企画から販売までをほぼ自社で手掛けることにより、余計な中間マージンを排除。さらに徹底的なコスト管理をすることで高収益を実現しています。

また、ニトリは家具・インテリアを販売する会社ですが、製造小売業に分類され、他の家具・インテリア販売会社とは一線を画しています。国内企業において家具・インテリア分野でSPAを実践し、全国的に展開・成功している企業は今のところ見当たりません。

厳密な意味でのライバルと言えば、世界展開を仕掛けるイケアとなります。イケアはニトリ同様、企画から製造までを手掛けるSPAで価格帯や商品などで競合となります。したがって、ニトリの実質的なライバルはイケアとなります。

高い収益性と競合の少なさは、当然のことながら高い成長を産みます。22期増収増益も納得の結果と言え、今後もさらなる成長が期待できるでしょう。