経営コムTOP > 企業別 経営戦略 > 日本マクドナルド 経営状況・分析
※(子)は日本マクドナルドの連結子会社、(他親)はその他の関係会社の親会社を意味しています。
日本マクドナルドについて
日本マクドナルドは東京都新宿区西新宿に本社を置くハンバーガーチェーン。創業者は藤田 田、現在の経営者(代表取締役社長)は原田 永幸。
『マクドナルド』はファーストフード業界において圧倒的なシェアを誇るハンバーガーチェーン。外食産業全体でもトップ。ハンバーガー市場では60%近いのシェアを誇り、2位のモスバーガー以下を大きく引き離す。08年現在、国内の店舗数は約3,800店舗。21年12月決算の日本マクドナルドHDの売上高は約3兆6,000億円。
強者戦略
強者戦略とはランチェスター戦略において強者(競合局面における市場シェアNO1の企業)がとるべきとされる戦略。ミート戦略を基本戦略とする。
コスト・リーダーシップ戦略
コスト・リーダーシップ戦略とは、ポーターの基本戦略のうちの一つで、業界全体の広い顧客をターゲットにし、他社のどこよりも低いコスト実現をすることにより競争に勝とうとする戦略。
差別化戦略
差別化戦略とは、ポーターの基本戦略のうちの一つで、業界全体の広い顧客をターゲットにし、他の企業が持たない特徴で他社との差別化を実現することで競争に勝とうとする戦略。
日本マクドナルドの戦略ポジション
現在の日本マクドナルド(以下マクドナルド)は全方位的な戦略の方針をとっています。定石による分類の上では、強者戦略、コスト・リーダーシップ戦略、差別化戦略をうまく複合的に展開している印象があります。
マクドナルドは過去にコスト・リーダーシップ戦略に走りすぎた面がありました。1990年代後半に『エブリディ、ロープライス』をキャッチフレーズにハンバーガーやセット価格を大幅に値下げ。それに他社が追随して価格破壊戦争が起きました。
一時は、円高の影響もありハンバーガーが単品で65円まで値下げされる事態となり、ファーストフード業界はおろか外食産業へ与える影響は絶大なものでした。しかしながら、2001年頃から円高、値下げによる客単価の低下を背景に業績は悪化。行き過ぎた低価格路線は失敗に終わりました。
こうした過去の失敗を背景に、低価格戦略から競争力のある商品開発やシステムの強化など従来の経営方針を転換。一方で、低価格ながら売上の高い『100円マック』を拡充するなど、現在では中価格帯と低価格帯の商品を両立させるといったバランスのとれた戦略を行っています。
マクドナルドの場合、コトラーによる分類ではリーダーに該当します。リーダーの戦略の定石は非価格対応、同質化、周辺需要の拡大にあると提唱しています。
コトラーによると、非価格対応とは業界トップの企業が値引きをすれば、競合他社もそれに追随する可能性が高く、結果的に最大シェアを持つリーダーがもっとも大きなダメージを受ける。よってリーダーは安易な値下げは避けるべきだといったものです。
過去のマクドナルドの低価格化路線の失敗は、まさにマクドナルドが非価格対応をとらなかった点であり、コトラーの提唱どおりの結果となりました。
一方で、近年のマクドナルドはリーダーとして周辺需要の拡大にも力を入れています。それに象徴されるのが『プレミアムローストコーヒー』の試み。この試みは従来のハンバーガー市場の枠を超え、周辺業界であるカフェ市場への拡大を模索したものであるとも言えます。
特に米国ではカフェ市場におけるスターバックスvsマクドナルドの構図が鮮明となっており、日本においても『プレミアムローストコーヒー』の試みが米国同様、カフェ市場への囲い込みの布石と見られています。
マクドナルドの強みは優れたシステムにあります。例えば、店舗オペレーションでは、注文後すぐに商品を作り提供される仕組みになっており、一つのハンバーガーを作るまでの作業工程にあらゆる効率化・省力化の工夫が施されています。
これはできたてのものを短時間で提供するという、商品の質とサービスの質の両面を満たしたものです。
さらに、オペレーションシステムは年々改善され迅速化、洗練化されていきます。こうした試みは店舗オペレーションに限らず、人材教育システム、製造システム、販売管理システムなどあらゆるシステムに適用され、常に改善されています。
マクドナルドの強みは、常に改善されていくシステムの秀逸さにあり、こうしたシステムを他社が一長一短に真似できるものではありません。
マクドナルドの強みとして挙げられるのが強いネットワークです。08年現在、マクドナルドは全国で約3,800店舗を誇り、どこでも近くにマクドナルドがある状態を確立しています。さらに、駅前や交差点角地など集客力のある立地を押さえている点も強みの一つです。
マクドナルドはドライブスルーの店舗数も外食チェーンの中で最も多く、 近年では24時間営業を導入する店舗も増えています。
これは、あらゆる時間帯、あらゆる層の取り込みを図ったもので、かつ近年増加する中食需要への対応とも見られ、全方位的な戦略をとるマクドナルドの象徴的な試みと言えます。
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