スズキの経営戦略を独自に分析しました。

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スズキ 基本企業データ

スズキ

※(子)はスズキの連結子会社、(親)は親会社、(持)は持分法適用会社を意味しています。

スズキについて

スズキは静岡県浜松市に本社を置く軽自動車を中心とした四輪、二輪車メーカー。創業者は、鈴木 道雄、現在の経営者(取締役社長)は鈴木 修。

2006年まで34年間連続で軽自動車国内No1の地位を築く。近年では海外に積極進出し、インドにおける自動車シェアの5割以上をスズキが占める。

スズキの経営戦略

経営コムが分析したスズキの経営戦略

集中戦略

集中戦略とはポーターの基本戦略のうちの一つで、業界の特定市場に的を絞って経営資源を集中し、競争に勝とうとする戦略。

 

弱者戦略

弱者戦略とはランチェスター戦略において弱者(競合局面における市場シェアNO1以外の企業)がとるべきとされる戦略。集中戦略と差別化戦略を基本戦略とする。

スズキの戦略ポジション

スズキは集中戦略の代表的な例と言えます。集中戦略とは米国の経営学者マイケル・ポーターが提唱した3つの基本戦略のうちの一つで、業界の特定市場に的を絞って経営資源を集中し、競争に勝とうとする戦略です。

スズキは自動車業界の中で、軽自動車という分野に的を絞り、経営資源を集中してきました。2006年まで軽自動車の分野で、34年間連続国内No1の実績を残し、この分野での強い競争優位性を確立しています。

また、スズキは日産自動車にOEM供給をしており、日産自動車の軽自動車・小型車分野の一部の供給を手掛けています。日産自動車へのOEM供給も考慮すると、スズキのこの分野での実質的な支配力は強大なものと言えるでしょう。

また、一方で自動車業界全体の中では、スズキは弱者(弱い者という意味ではなく、ランチェスター戦略において市場シェアNo1以外の企業のことを指す)にあたります。スズキ会長兼社長の鈴木 修氏はそのことを強く認識しており、自らのことを『俺は、中小企業のおやじ』と称しています。

弱者戦略の基本は集中戦略や差別化戦略です。スズキは自らを弱者と認識することにより、軽自動車という特定市場でその地位を築きました。軽自動車という特定分野での地位を築いた結果、国内第2位の自動車販売台数を誇るまでに成長しました。

集中戦略は多くの中小企業にも当てはまる戦略です。弱者が強者になる戦略の一つでもあり、スズキの集中戦略は多くの中小企業が見習うべき手法と言えるでしょう。

スズキの強み(競争優位性)

スズキの強み(競争優位性)

軽自動車分野での高いシェア

スズキの強みとしてまず挙げられるのが、軽自動車分野での高いシェアです。高級車や中型車にはあえて目を向けず、軽自動車や小型車の開発・販売に特化している点です。 これは先に挙げたコトラーの集中戦略のお手本のようなものです。

特定分野に特化することにより高い競争力を維持し、”軽自動車ならスズキ”といった他社との差別化やブランド化にもつながります。

インドでの圧倒的なシェア

スズキの集中戦略はエリア選定にも見受けられます。スズキはまだ経済成長の兆しが見えない1983年、他社に先駆けてインドに進出しました。現在インドにおけるスズキのシェアは50%を超え、インド国内を走る車の2台に1台はスズキの車となります。

インド市場におけるスズキの支配力は強大で、この市場ではトヨタも日産もスズキには太刀打ちできません。2010年のインド自動車工業会の発表によると、インド国内の自動車販売台数は前年同月比35%増、スズキの販売台数は過去最高を記録しています。