シャープの経営戦略を独自に分析しました。

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シャープ 基本企業データ

シャープ

※(子)はシャープの連結子会社、(親)は親会社、(持)は持分法適用会社を意味しています。

シャープについて

シャープは大阪府大阪市に本社を置く液晶技術を中心とした総合家電メーカー。創業者は早川徳次、現在の経営者(取締役社長)は片山 幹雄。

液晶の応用技術を軸とした製品で世界トップクラスの技術力を誇る。主要製品は液晶テレビ、携帯電話、ハイビジョンレコーダー、家庭用パソコンなど。

シャープの経営戦略

経営コムが分析したシャープの経営戦略

集中戦略

集中戦略とはポーターの基本戦略のうちの一つで、業界の特定市場に的を絞って経営資源を集中し、競争に勝とうとする戦略。

シャープの戦略ポジション

シャープは集中戦略の代表的な例と言えます。シャープは群雄割拠の家電業界において液晶技術を武器に集中戦略をとってきました。今日のシャープの繁栄は高い技術開発力に裏付けされた液晶の分野に特化した点にあります。

シャープは技術開発に優れた会社です。シャープペンシルを発明した創業者早川徳次氏に代表されるように、シャープは先駆的な発明・開発を次々に行っています。

1963年には他社に先駆けて太陽電池の量産化に成功。翌年1964年には商用化された世界初の電卓を開発。これが現在の『液晶のシャープ』の原点でもあります。電卓の開発後、当時大型だった電卓を小型化するにはディスプレイが問題となっていました。そこで、省エネかつ小型化できるディスプレイは何かと模索したところ液晶に目をつけたのです。

こうして1973年にシャープは世界で初めて電卓の表示装置として液晶の実用化に成功。その後様々な試行錯誤を繰り返し、現在の液晶テレビに代表されるように『液晶のシャープ』の地位を築きあげたのです。

シャープの経営戦略の中で『スパイラル戦略』と呼ばれるものがあります。スパイラル戦略とはシャープが自ら呼称したもので、「先進的な部品を開発しその部品を元に特徴的な商品を生み出す」流れと、「商品に使われることで部品の目標が明確になり性能が向上する」という循環の中で成長するといったものです。

上記電卓と液晶テレビの関係がスパイラル戦略の好例です。電卓という特徴的な商品を生み出した結果、ディスプレイに液晶技術の必要性が生まれ、液晶技術という先進的な開発により、液晶テレビが誕生するといったものです。

シャープの強み(競争優位性)

シャープの強み(優位性)

優れた技術開発力(差別化)と集中

シャープの最大の強みは上記にも述べましたが、やはり優れた技術開発力にあります。

シャープは上記のとおり、シャープペンシルをはじめ、電卓、ラジオ、テレビ、電子レンジ、太陽電池の量産などを他社に先駆けた技術開発を行ってきました。

創業者の早川徳治氏の言葉に『まねされる商品をつくれ』とありますが、過去の例を見てもシャープが先駆けて開発し、他社がまねをする構図がいくつか見受けられます。

他社に先駆けて製品を開発し量産することは、それだけで他社と差別化することになります。さらに、差別化した特定市場に経営資源を集中することで、高い競争優位性を確立することができます。

シャープの強みは高い技術開発力に裏付けされた差別化と集中にあります。