任天堂の経営戦略を独自に分析しました。

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任天堂 基本企業データ

任天堂

※(子)は任天堂の連結子会社、(親)は親会社、(持)は持分法適用会社を意味しています。

任天堂について

任天堂は京都府京都市に本社を置く玩具・ゲームメーカー。現在の経営者(取締役社長)は岩田 聡。

花札・トランプなどを手掛ける玩具メーカーからスタート。1983年には『ファミリーコンピュータ』を発売し、国内のみならず世界的なブームに。その後、『ゲームボーイ』、『スーパーファミコン』、『ニンテンドーDS』、『Wii』などヒット製品を多数輩出。家庭用ゲーム機での不動の地位を築く。

任天堂の経営戦略

経営コムが分析した任天堂の経営戦略

ブルー・オーシャン戦略

ブルーオーシャン戦略とは、フランスINSEAD教授のW・チャン・キムとレネ・モボルニュにより2005年2月に発売された著書『ブルー・オーシャン戦略』により提唱された戦略。競争者のいない新たな市場でユーザーに高付加価値低コストを提供する戦略。

 

差別化戦略

差別化戦略とは、ポーターの基本戦略のうちの一つで、業界全体の広い顧客をターゲットにし、他の企業が持たない特徴で他社との差別化を実現することで競争に勝とうとする戦略。

任天堂の戦略ポジション

任天堂の経営戦略は近年提唱されたブルー・オーシャン戦略が当てはまると言えます。ブルーオーシャン戦略は競争者のいない新たな市場でユーザーに高付加価値低コストを提供する戦略です。

任天堂の優れている点は、『ファミリーコンピュータ』の開発から近年大ヒットした『Wii』に至るまで、つねに競争者のいない新たな市場(ブルー・オーシャン)を開拓している点です。

『ファミリーコンピュータ』の誕生により家庭用ゲーム機という新たな市場を、『ゲームボーイ』の誕生によりポータブルゲームという市場を、『Wii』の誕生により今までゲームに馴染みのなかった層(新たな市場)を開拓してきました。

こうした従来にない(競争のない)市場(ブルー・オーシャン)の開拓により、任天堂は大きな成長を遂げてきたのです。

『ブルー・オーシャン』著者のキムたちは、競争者のいない新たな市場(ブルー・オーシャン)を、無限に広がる可能性を秘めた市場と定義しています。この定義の通り、任天堂が新たな市場を開拓するに伴い、その業績も大きく拡大し、家庭用ゲーム機業界で圧倒的な地位を確立したのです。

任天堂の強み(競争優位性)

任天堂の強み(優位性)

バリューイノベーション

競争者のいない新たな市場(ブルー・オーシャン)を開拓するには、バリューイノベーションが不可欠です。バリューイノベーションとは、商品の価値を向上させる一方で、コストを下げていくことです。

本来、商品の価値の向上とコスト削減は相反するものですが、任天堂は商品の価値の向上とコスト削減を両立させたのです。例えば、近年大ヒットした『Wii』はリモコンを振るだけで操作できる直感的な操作性(価値の向上)を図る一方で、グラフィック処理を抑えることによりコスト削減を達成しています。

近年のゲーム機はグラフィック処理を競い合うような傾向にありました。しかしながら、グラフィック処理の向上は必ずしも消費者が求めているものではなく、こうした傾向が進むほどゲームに馴染みのない層は離れていきました。

こうした消費者の動向をうまく捉え、ゲーム本来の楽しさに着目した任天堂は直感的で容易な操作性に着目し、ゲームに馴染みのない層の取り込みに成功したのです。ここに任天堂の巧みさが伺えます。